ここでは、みなさんからいただいた介護や生活にまつわるご相談に、主任ケアマネージャーの私からお答えしています。
Q介護保険は何歳から受けられるの?
[相談]
「58歳男性。脳梗塞を発症し、身体の半分に痺れや動きにくさが残っています。病院から介護保険を受けてリハビリを続けるよう勧められました。介護保険は65歳以上でないと利用できないと思っていました。この年齢でも介護保険を利用出来るならば、お願いしたいです」
[アドバイス]
わたしたちは40歳になると、介護保険の被保険者(加入者)となります。65歳以上の人は、介護や支援が必要と認定された場合、いつでも介護保険サービスを受けることが出来ます。また、40歳から64歳までの人は、介護保険の対象となる特定疾病によって介護や支援が必要と認定された場合に、介護保険サービスを受けることが出来ます。今回ご相談頂いた方の場合、特定疾病(脳梗塞)の病気があります。まずは介護認定を受けられるかの手続き(介護認定申請)を行いましょう。
[ここでワンポイント!]
介護保険は老化によって起こる病気が対象となります。例えば交通事故が原因の場合は、65歳になるまで介護保険の対象にはなりません。そのような場合には、他の福祉サービスを受けられます。
Qどんな介護保険サービスがあるの?
[相談]
「60代女性。86歳の父が介護認定を受け、84歳の母が介護をしています。母から毎日のように相談されますが、どんな介護保険サービスがあるのでしょうか?」
[アドバイス]
介護保険サービスには
①自宅で受ける「在宅サービス」 ②住んでいる市区町村の住民だけが受ける「地域密着型サービス」 ③介護施設に入所(または入居)して受ける「施設サービス」があります。
①在宅サービス:訪問介護(食事・排泄などの身体介護、掃除・洗濯などの生活援助)や通所介護(デイサービス)、短期入所(ショートスティ)、福祉用具貸し出しなどがあり、必要に応じて組み合わせて利用できます。
②地域密着型サービス:住み慣れた地域(住民票のある市区町村)で暮らし続けることを目的としていて、訪問・通所・宿泊のサービスを随時組み合わせ利用できる小規模多機能型居宅介護、認知症の方がともに暮らすグループホームなどがあります。
③施設サービス:生活全般の介護が必要な方が入居して介護サービスを受ける特別養護老人ホーム、家庭への復帰を支援する老人保健施設などがあります。要支援の方は、施設サービスは利用出来ません。
Q認定調査って何をするの?
[相談]
「80代女性。転びやすくなり、周囲の勧めで要介護認定申請をしました。調査員が来るそうですが、何を聞かれるのでしょうか。友人からは大げさに言うと良いとありましたが、嘘をつくことになりませんか?」
[アドバイス]
要介護認定の申請をすると、認定調査員が自宅(または施設や病室)に訪問して、ご本人の心身の状況について調査をします。この調査は、調査票の項目にしたがって調査員が当てはまる状況をチェックする「基本調査」と調査員が具体的な状況を記述する「特記事項」にわかれます。 実際よりもオーバーに言うと、申請時に主治医に依頼している意見書の内容と合わないということになって、再調査になりかねません。あくまでも、事実を正しく、具体的に言うことが大切です。例えば、「足の力が弱くなったので浴槽をまたげないから、ひとりで入浴できない」「長時間立てないから、食材を切る時は椅子に座りながらしている」といった伝え方です。 認定調査では基本的にご家族などの立ち会いが必要です。ご家族は、「困った行動」があるような時には、おおむね1ヶ月以内にあったことをメモしておきましょう。具体的に「いつ、こんなことがあった」と伝えることが大切です。
Qヘルパーは何でもやる人?
[相談]
「82歳女性、ひとり暮らし。腰が悪く動くのが大変なので介護保険を申請。ヘルパーさんに家事を手伝ってもらうことになりましたが、『できるところは自分でして下さい』と言われました。ヘルパーさんは私の代わりにやってくれる人じゃないの?」
[お答え]
訪問介護は、介護保険制度によって「やって良いこと」と「やってはいけないこと」が細かく決められています。そして訪問介護は「自立して生きてもらうために、本人ができることはしてもらって、出来ない部分だけ手伝う」という「自立支援」の一環として行われています。 例えば、寝たきりであっても両手が動く方が着替えをするとします。ヘルパーはできるところは本人でして頂くように心掛けていますから、声かけをし、パジャマのボタンを外せるところまでは外して頂きます。生活(家事)援助でも同じです。本人の生活上できない部分のみ支援します。なぜなら全てを行うことは簡単ですが、逆に本人の能力を下げてしまい、寝たきりにしてしまうことになりかねないからです。
Q福祉用具を活用しましょう
[相談]
「80代男性。腰や膝の痛みが強く、整形外科に通院しています。平坦な道でもつまずくことが増えました。先日、娘から杖を使うよう勧められました。しかし、杖を使っている所を近所に見られるのは格好悪いですし、一気に年寄りになった気がして使う気になれません。」
[お答え]
杖やシルバーカー(押し車)などの使用を勧められた時に、男女問わず抵抗感を持たれる方は多いです。見た目やプライドの問題、上手く使えなさそうという考えが大きいようです。ですが、「転ばぬ先の杖」というように、転んで骨折なんてことにならないよう福祉用具を活用することも身体を保っていくために必要なことではないでしょうか。 福祉用具には様々な種類があり、生活になじむまでには時間がかかることもあります。福祉用具を活用する長所(メリット)は、①より安全な環境づくり ②自分で出来ることを増やして自立の可能性を高める ③介助する人の負担を軽くする、といったことが挙げられます。例えば、杖で移動が楽に出来ることで、娘に手を引かれなくても済む、などといったことが考えられます。
Qデイサービスを嫌がる祖母
[相談]
「30代女性。90歳になる祖母は認知症があり、閉じこもりがちです。足腰の運動や人との交流が必要と、デイサービスに通うことになりました。しかし、祖母は嫌がってばかりいます。どうしたら気持ち良く通ってくれますか?」
[お答え]
デイサービスを嫌がる方は多くいて、その原因として、①人に迷惑をかけたくない。②つまらない、雰囲気に馴染めない。③自宅で過ごしたい、慣れない場所は嫌。④知り合いがいない。⑤「デイサービス=嫌な場所」と思っている、などが挙げられます。 「行かないとダメ」と強制されるだけでも嫌がってしまうことがあります。「無理はしなくて良いよ」と伝え、なぜ嫌がっているのかを考え、その原因を取り除くことが大切です。案外、原因が1つ解決するとスムーズに通えるようになることもあります。 デイサービスの特徴は施設によって違い、特にレクリエーションは手芸や折り紙をするところ、運動中心のところなどがあります。人それぞれ好みが異なるため、その人に合ったデイサービスを選んでいくことも大切です。 また、デイサービスもご本人が利用しやすい環境を作るため、誘い掛けに来てくれるなど関わってくれます。諦めずに専門職と協力していきましょう。
Q介護者の心の健康
[相談]
「50代女性。同居している父母の介護をしています。特に父の介護が大変で、時には怒鳴り合いになることも。一人っ子なので自分が面倒をみるのが当然と思っていますが、無性に辛くなる時があります。」
[お答え]
介護に全力で取り組もうとする人ほど、うつ病を発症しやすいという調査結果があります。一生懸命なのは悪いことではありませんが、自分を追い込むほどのめり込むのは問題と思います。最悪の場合には事件にまで発展してしまう例もあるからです。 週に1日でもボランティアや趣味のサークルなど、介護とは関係のない人間関係や自分なりの世界を持つことは、介護者が心の健康を保つために大事なことと言われています。そこまでの時間は取れないという場合は、散歩や喫茶店でお茶を飲むなど、短時間でもリフレッシュ出来る時間を持つことも良いと思います。 また、プロに任せた方が介護を受ける側の心も身体もかえって安全ということが多々あります。デイサービスやショートステイなどの介護保険サービスを利用しながら、介護する人も受ける人も、安心して過ごせるようにしましょう。
[相談]
「県外在住の40代女性。実家の母(70代)について相談です。年末年始に実家へ帰省したところ、家が前よりも片付いていないことが気になりました。部屋のあちこちに物を置くようになって…。こちらが片付けようとすると、母はとても嫌がります」
[アドバイス]
片付けの際の意見の相違は、親子共にストレスになります。協力するつもりで始めた片付けが、価値観のずれから、親子げんかになってしまうことも。次のような言葉を使っていませんか? ①見下す言い方…「いつ使うの?」「取っておいてどうするの?」②思い入れを無視する言い方…「捨てなよ」「こんな(古い、汚い)物」③気持ちや都合を押し付ける言い方…「早くして」「こっちも忙しいのに」「やってあげる」④責める言い方…「どうして片付けないの?」「汚い」「だらしないね」 不要に見える物でも、本人にとっては意味のある物や置き場所だったりするのです。「ぶつけると危ないから、こっちに移すね」などの言い方に変えてみましょう。それでも怒らせてしまった時は、とりあえず日を改めましょう。相手のペースに合わせるのが一番の近道です。
Q冬のお風呂が心配で…
[相談]
「80代の1人暮らし女性。寒くなってきてお風呂に入った時に倒れないか不安です。血圧も高い…。でも、お風呂に入らないと気持ち悪いし…。どうしたら良いですか?」
[お答え]
温度の変化で血圧が上下に大きく変動することが原因で起こる「ヒートショック」。血圧の変動を少なくすることや不調時に備える対策をとりましょう。 ①脱衣所や浴室は温めから。シャワーでお湯張りするのも良いですよ。②午後2時~4時頃の暖かい時間帯に入浴しましょう。③お酒はお風呂の後にして下さい。④ひとり暮らしならば、人の集まる場所(スーパー銭湯、老人福祉センターなど)でお風呂に入るのも安全策です。可能ならば、家族のいる時に入って下さい。それ以外に、こんなお答えもしています。⑤介護保険の認定を受けている方はデイサービスに通ったり、ヘルパーさんに来てもらいお風呂に入ることができます。⑥75歳以上のひとり人暮らしなど対象となる方は、市の「在宅見守り安心システム」(月200円)を利用出来ます。ボタンを押すと受信センターに通報が入り、助けを呼べます。
Q食べていると言うけれど
[相談]
「50代女性。両親は2人暮らしで共に80代です。子供達は県外のため、訪問するのは数か月おきです。先日会うと、両親共にやせたなと感じました。「歩いているし、食べてもいるよ」と話しますが、このままで大丈夫でしょうか」
[アドバイス]
自分の健康を気遣って運動している方が多くなりました。しかし、食事は自分の好み中心で栄養バランスなどはどうでしょうか。「ちゃんと食べている?」と聞けば、大概の方は「食べている」と答えます。しかし、この「ちゃんと」という部分の中身に関しては、あまり気にしていないことが重要なポイントです。 加齢にともなって食欲が低下したり、噛む力が弱まったり、味覚が低下して味の濃いものを好むようになります。結果、栄養が偏りがちになり、さらには「低栄養」と呼ばれる危険な状態になることもあります。 親をみて「歳を取ったな…」と感じるのは、やせた身体を見る時ではないでしょうか。歳のせいだけでなく、栄養状態が大丈夫か疑う必要があります。栄養状態が心配ならば、自宅まで食事を届けてくれる「配食サービス」を活用することも1つです。安否確認も兼ねているので、遠距離介護の方はより安心が大きいのではないでしょうか。
[相談]
「60歳女性。90歳の父と同居中。5年前の震災時は食器が割れ、テレビやタンスなどが倒れ…と大変でした。その後、家具やテレビは固定しましたが、地震に備えて他に対策出来ることはありますか? 父が杖を使うようになったので、すぐに動けず不安です」
[アドバイス]
地震が発生した時、特に高齢者は「行動が遅れる→慌てる→けがをする」という事があります。いざという時のために住まいの安全対策をとっておきましょう。 基本的には、自分の身体をけがから守る。火事の被害拡大を防ぐ、建物内が危険な場合は外に出る、といった行動がとれるようにしておくことが必要です。 そのために、①避難ルートの確保 ②家具の配置と転倒防止 ③火災の予防 ④ガラスの飛散防止の対策をしましょう。 家具に転倒防止器具を取り付けることは大切ですが、それ以前に大きな家具は寝室に置かない! 倒れて怪我するだけでなく、移動の妨げになります。また、窓や家具の扉には飛散防止シートを貼る工夫も1つです。浴槽に水を張っておくといざという時役立ちます。コンセントを時々外してホコリが溜まらないようにするのは火災予防になります。
こんな時にご相談ください
【ご本人から】
・介護保険のサービスについて知りたい
・施設を利用したい
・介護予防の教室に参加したい
【ご家族から】
・もの忘れが進んだ
・お金の管理ができなくなった
・離れて住んでいる親が心配
・介護のしかたがわからない
【ご近所から】
・虐待されている高齢者がいる
・怪しい業者が家に出入りしている
・ひとり暮らしが心配
三中、千波中学区におすまいの方はこちらにご連絡ください