ここでは振り込め詐欺や介護による疲れから虐待してしまった、といった悩みや、成年後見人制度についてなど、皆さんから寄せられた実例と、解決方法をお伝えします。
Q「修理しないと家が ダメになりますよ」と言われて…
[必要のない工事の契約をしてしまった…]
今回は「消費者トラブル」です。ある日、作業着を着たAが自宅に来て「近くで工事をすることになりました。ご迷惑をおかけしてしまうので、挨拶がてら無料点検しますね」と言った。すると「屋根が傷んでいます。修理しないと雨漏りして家全体がダメになってしまいますよ。今ならうちで安くやりますから」と話があり、Aに工事を頼んだ。後日、契約書にサインしたが、高額なのと、知り合いの大工さんに確認したら不要な工事とのこと。やっぱりやめたい。
[解説]
「点検商法」の典型的な事例です。不安をあおり、必要のない工事などを迫るものです。この例は訪問販売となりますので、契約をしても契約書を受け取ってから8日以内であれば「クーリング・オフ」の制度が適用できます。また、8日を過ぎても「不実告知」を基に契約の取り消しをできる場合もありますので、あきらめずに「消費生活センター」に相談してみてください。実際に、この例では「クーリング・オフ」を適用して無事に解約できました。
Q振り込め詐欺「自分だけはだまされない!」思い込みにご用心
先日、「振り込め詐欺を防いだ」として表彰された方(Aさん)のことが報道されていました。
「電話しながらATMの操作をしている方(Bさん)がいたので、『もしかしたら詐欺かもしれないので、 一度電話を切ってかけなおしては?』と声をかけると『息子からの電話なのに』と、Bさんはしぶしぶ息子様にかけなおしてくれました。すると『息子は電話していないそうです。もう少しで騙されるところでした』とショックな表情を浮かべていました。
その後、警察を呼び、Bさんから事情を聴いていると、今度は別の老夫婦が携帯で話をしながら入ってきて、『詐欺ですか? 大変ですね』と言って、ATMの前へ。Aさんはすぐに老夫婦を呼び止め、またも振り込め詐欺を防ぎました」という話でした。
振り込め詐欺を防ぐには、①知らない番号や非通知の番号の電話には出ない、②「息子だ、娘だ」と言われても名前を確認する、③家族だけがわかる合図を決めておく、④電話を掛け直す、等の方法があります。「自分だけは騙されない」という思い込みが強い人ほど、詐欺にあいやすいとも言います。慎重に対応しましょう。
Q「やっぱりやめたい…」電力自由化の契約
知っていますか? 電力供給会社との契約でも使えるクーリング・オフ!
今年4月から電力自由化が始まり、電気供給会社も選んで契約できるようになりました。しかし、多数のプランから選んで契約をする場合、不必要な契約をしてしまい「やっぱりやめたい」という事もあるかと思います。
そういった時、実は「クーリング・オフ」が使えるのは意外に知られていません。条件としては「訪問販売や電話勧誘で契約した場合」で「契約文書等を受け取ってから起算して8日」です。
適用除外の場合などもありますので、詳しい説明や、実際の手続き方法などは「消費生活センター(029-226-4194)」や「東部高齢者支援センター(029-246-6216)」までご連絡を!
参考)電力・ガス取引監視等委員会
Q電話でのセールス、どう断ればいい?
Aさんからの相談。「突然電話がかかってきて、『洋服でも何でも古くなったものを引き取ってカンボジアに送ります。都合のいい時に引き取りに伺いますので住所を教えてください』と。怪しいと思ったので『今から出かけるからまた後で電話ください』と応えたのですが、どうしたらいいのでしょうか…?」
あやしいと思った時には、「結構です」や「大丈夫です」などのあいまいな表現ではなく「お断りします」としっかりと断ってください。それでもしつこく電話をしてくる時には最寄りの警察や消費者センターへ相談してください。絶対に自宅の住所や家族構成、就労状況などを教えないようにしましょう。今回の事例でも、後日Aさんにまた同じ電話があり、「お断りします。しつこいようなら警察へ通報します」と伝えたら相手は何も言わずに電話を切ったそうです。実際に悪徳業者だったかはわかりませんが、不要な時にはしっかりと断ってくださいね。
Q還付金詐欺について
訪問先で、Aさんより「そういえばこの前、税務課から、『還付金があるから、手続きしてくれ』って電話があってスーパー行ってきたんだ。機械(ATM)のやり方も電話で教えてくれた。いつ頃戻るかな。」と偶然聞きました。
残念ですが「詐欺」です。公的機関が「お金が戻るから」といきなり直接の電話をしてくることやATMへ誘導し、操作させることもありません。ましてやスーパーのATMで操作させることも絶対ありません。こういった場合には必ず「詐欺」を疑ってください。スーパーのATMへの誘導は最近の流行のようです。
対応方法としては「あやしい」と思ったら、警察や消費生活センターへ連絡、相談することです。この事例では担当課の名前が出ていますので、担当課にそういう電話をしたか問い合わせるのも一つです。
実際に被害に遭ってしまった場合でも気付いた時点で警察、消費生活センターへ連絡しましょう。
Q介護による疲れ、ストレスから…高齢者の虐待について
[知らず知らずのうちに虐待を…]
Aさんは脳梗塞後遺症による認知症との診断を受けた男性。要介護は4。
毎晩のオムツ交換が5回でほとんど失禁。献身的に介護していた妻は、ある時、我慢の限界が来て「いい加減にして!」と怒鳴ってしまい、夫から「何で怒ってるんだ?」と言われ、カッとなった妻は思わず夫をたたいてしまったということです。
介護による疲れ、ストレスから献身的虐待(手を出す)と心理的虐待(怒鳴り恐怖を与える)をしてしまったケースです。
家族介護をしている場合、様々なストレスがかかり、知らず知らずのうちに虐待をしてしまっていることがあります。
介護で疲れてしまう前に、まずは身近な人でもいいですし、もちろん、私たちにも協力させてください。「どうしたらいいんだろう?」「話を聞いてほしい」と思った時には、遠慮なく東部高齢者支援センターにご連絡ください。
Q認知症と虐待
「認知症の家族を介護している、したことのある方」を対象にしたあるアンケートで、「認知症の本人を虐待しそうになったことがあるか?」という問いに、実に79%の方が「ある」と答え、その中で実際に「虐待をしてしまった方」は34%という結果が出たそうです。
認知症という病気が原因とはわかっていても、「お金を盗った」と疑われたり、「いつの間にか外出して迷子」、「叩かれたり、暴言を言われた」などで次第に介護している側に余裕がなくなると、どうしようもなくなり、「声を荒げてしまう」、「縛って動けないようにしてしまう」、「叩いてしまう」などの行動につながってしまうようです。そんな方々の大部分が「介護について、認知症について相談できる場所があれば…」ということを口にしています。
もし、これから介護が始まる方や実際に今介護に悩んでいる方など、自分だけ、家族だけで抱え込まずに、「東部高齢者支援センター」までご連絡ください。 *参照「認知症online」
Qこれって虐待?
お嫁様から「夫が認知症のお義母さんが食べこぼしたりすると怒鳴ったり、叩いたりしている。『一生懸命なのはわかるけどやりすぎじゃない』って言っても、夫は『母さんなら出来る。俺がきちんと教える。』と言い張るので電話しました。」との相談。
「他者から見ると厳しい介護」の状況を心配する相談です。実際に怒鳴り、叩いている為「虐待」として扱われてしまう事もあります。この背景には「母さんなら出来るはず」、「俺の言うとおりにすれば出来るはず」など「完璧な介護」「理想の介護する側、される側」を目指す姿があると言われています。一所懸命に介護をした結果、知らず知らずに「虐待」をしていたらお互いに嫌ですよね。家族に介護が必要な方がいる時には、ぜひ一度相談してください。
この事例の方には訪問して食事介助のコツを伝え、介護保険でヘルパーさんを利用し介護負担を減らすことを提案しました。数か月後、「今では怒ることもほとんどなくなって、互いに穏やかに生活できています」と報告がありました。
Q増え続ける高齢者虐待
地域の50代の男性より「虐待ってよくあると聞くけど、どのくらいあるの? どういう人が虐待しやすいの?」と相談を受けました。先月、平成26年度の高齢者虐待に関する調査のデータが厚生労働省より公表されたのでお答えします。在宅での虐待の認定件数は増えており、15,739件です。
その原因は「介護疲れ」や「介護ストレス」などに加え、相談できる人が身近にいなくて、自分や家族だけで抱え込んでいる状況の時に起こることが多いと分析されています。
介護は色々な要因が重なって大変になりますが、ちょっとしたコツを知るだけでもだいぶ楽になります。介護保険の公的サービスもあります。少しでも悩んだり、辛いと思った時、悩んだ時など、「こんなこと聞いていいの?」「こんな相談恥ずかしい」と思わずに、迷わず相談してください。
Q金銭管理のお手伝いもしてくれます
「最近、物忘れがひどくて…」Aさん、85歳。一人暮らしの女性。「最近、物をどこにしまったかを忘れるようになってきました。この前は通帳の場所がわからず。役所からの通知もどれが大事で、どれを出せばいいのかわからない。3日前には、山になっている手紙の中から電気料金未納の通知を娘が見つけて、『なんでこれ払っていないのよ』と怒られてしまいました」
[解説] 認知症ではなくとも物忘れが多くなってきたり、必要/不要の判断が一人では難しいなど、お年寄りは日々の暮らしに不安があると思います。
このような時に、福祉サービスの利用手続きや金銭管理の手伝いをしてくれるのが、社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」です。
一人では心配だけど、助けを得られれば十分判断ができる方が対象です。手伝いの内容は、福祉サービス利用や生活に必要な事務手続きなどのお手伝い、公共料金などの支払いや預金の出し入れや通帳管理などです。
Q認知症の母の年金を兄が使っているようだ…
成年後見制度があります。
「親と同居している兄が認知症の母の年金を自分のために使っている。介護認定を受けているけど何のサービスも受けさせてもらえていない。私や妹では兄に何も言えないし、今後の事でももめたくない」との相談。
[解説] 成年後見制度は「認知症、知的障害や精神障害等で、判断能力が不十分な人」が間違った契約を結んだり、不利益をうけないよう、「家庭裁判所」を通じて選ばれた後見人等が金銭管理や生活・医療・介護に関する契約を行う(身上監護と言います)制度です。今回の相談でも本人の財産を守り、本人が必要なサービスを受け、安心・安全な生活を送るために成年後見制度の利用を考えてもらいたい事例です。
この制度は言葉も難しく、少し複雑ですので、今回は「成年後見制度」というものがあることを知ってもらえればなぁと思います。
Q成年後見制度
遠方に住む姪っ子さんから「叔母が認知症になり、頻繁に『お金がない』と電話をかけてくる。遠方にいるから金銭管理も出来ないし、必要な介護等についても良く分からない。どうしたらいいでしょうか」との相談です。
このような時には成年後見制度を利用してみてはいかがでしょうか。成年後見制度は認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が不十分な方の権利を守るための制度です。預貯金や不動産など財産管理、介護サービスなどの利用契約・解約、遺産分割協議などの場面で本人が不利益を被らないように専門家等が支援してくれます。
家庭裁判所で後見人等を決める法定後見の他に、自分が元気なうちに、信頼する人に必要な部分をサポートしてもらえるように取り決めをしておく任意後見というものがあります。
手続きの仕方、費用の問題など詳しく聞きたいときには東部高齢者支援センターまでご連絡ください。
Q成年後見人はだれがなるの?
先日、遠方の娘様より「認知症で独居の母のために成年後見制度を使いたい。後見人はどういう人が選ばれるの?」との質問。
親族の中に適任者がいる場合は、その方が後見人になる事ができます。以前は親族がなることが多かったです。
しかし平成24年以降、第三者が後見人につくことが多くなっています。そこには認知症の方が増加し、適切な介護・福祉の支援が必要な事が多いことや遺産のこと、消費者トラブル、契約などの法律問題も増えていること等の背景があります。
専門職後見人と言い、弁護士、司法書士、社会福祉士等は専門職として後見人となることが出来ますので、後見制度のことをもっと知りたいという方は東部高齢者支援センターまでご連絡ください。
こんな時にご相談ください
【ご本人から】
・介護保険のサービスについて知りたい
・施設を利用したい
・介護予防の教室に参加したい
【ご家族から】
・もの忘れが進んだ
・お金の管理ができなくなった
・離れて住んでいる親が心配
・介護のしかたがわからない
【ご近所から】
・虐待されている高齢者がいる
・怪しい業者が家に出入りしている
・ひとり暮らしが心配
三中、千波中学区におすまいの方はこちらにご連絡ください