ここでは、お年寄りに多い病気や薬に関するご相談などに、看護師の私からお答えしています。

 

 

Q医者の前だと緊張する

相談
「60代女性。私ね、お医者さんを前にすると、緊張しちゃってなかなか自分の言いたいことが言えないの。良く診てもらいたいとは思うけど、どうしたらいいかしら?」

お答え
確かに緊張しますよね、お医者さんの前だと緊張して血圧が高くなってしまう「白衣高血圧」なんて言葉があるくらいです。私の祖母も、「先生に何て言ったらいいの?」と何度も私に聞いてきたことを思い出しました。
お医者さんは皆、患者さんの病気を良くしたいと思っています。そのためには情報が必要です。ですので、メモをつくりましょう。
「いつから、どこが、どんな風に具合が悪いのか? どんな症状なのか?」
といった要点をまとめたメモを事前につくって渡すのがよいと思います。先生に直接渡すのも緊張するという方は看護師さんに渡してもよいと思います。
一見、今ある症状と関係ないようなことでも、実は関連しているということもあるので、変化を感じたことがあったら、ぜひお医者さんに伝えて下さい。
そうそう、相性っていうのもありますからね、自分と波長の合うお医者さんを探すというのもいいかもしれません。

 

 

Q病院だと血圧が上がる

相談
「75歳の女性。高血圧で、朝、血圧を下げる薬を飲んでいます。毎朝血圧を測っており、120/80とだいたいいつも同じくらいです。でも病院に行くと150/90くらいになってしまいます。もう一度測ったら、もっと高くなってしまいました。病院に行くといつも高くなってしまいます。どうしてですか?」

お答え
そもそも血圧は変動するものです。緊張した時などの気持ちの変化や、お風呂に入った時・トイレで用を足す時など動きの変化で血圧は上がります。また、気温でも変動があります。寒い日は高くなり、暖かい日は低くなります。
なので、病院で測った値が高くても、必ずしも病的とは言えません。「白衣高血圧」という言葉ができたくらい、病院だと(緊張して?)高くなってしまうという方は多いようです。
毎日同じ時間に血圧を測っておられるということなので、それをぜひ医師に見てもらって下さい。ちなみに、家庭で測った血圧の基準があり、「≧135 かつ ≧85」が高血圧の基準だそうです。
寒い季節になりました。血圧の急激な変動を避けるために脱衣所やトイレも温めておくといいかと思います。

 

 

Qお年寄りも歯が大事!

相談
「80歳男性の家族からの相談。虫歯のせいか最近あまり食欲がわかないようです。歯がなくなっては困るだろうと思うのですが、父は認知症があり、歯医者に行くのを嫌がっています。歯がなくなったら入れ歯にすればいいかと簡単に思っているのですが、やっぱり治すように勧めたほうが良いのでしょうか?」

アドバイス
お父様、あまり食欲がわかないというのは心配ですね。認知症があると、痛みや不快をうまく言葉で表現できないこともあります。また、歯や口腔内の不具合から食欲が落ちたり、認知症状が進んだりすることもあるので、一度歯医者さんに診てもらうのがいいと思います。
入れ歯を新たに作るのも一度では済まないし、自分の歯よりはやはり違和感があるので、できるだけ自分の歯を維持した方が良いと思いますよ。水戸市で行っている「訪問歯科相談」も利用してみて下さい。
*「訪問歯科相談」とは、水戸市内に住所のある65歳以上の方で認知症や寝たきり等で歯科への通院ができない方やその高齢者を介護する家族等を対象としてます。
お問い合わせ【基幹型高齢者支援センター029-241-4820】

 

 

Q補聴器って必要?

相談
「86歳女性の家族からの相談。母親が耳が遠くなって、話が通じなくイライラしてしまいます。補聴器つければと言っても「いらない」と言われてしまいます。大声で話していると疲れるし、母から「何で怒るの?」と言われてしまいます。どうしたらいいですか?

アドバイス
会話がしにくくなるというのは、本当に大変なことですよね。怒ってないのに、怒っていると言われるのも辛いですね。
年を取るにつれ、体の様々な部分が衰えていきますが、聴力もその一つです。しかし、聞こえが悪くなる原因は様々なので、まずは何で耳が遠くなったのか、耳鼻科で診てもらうのが一番だと思います。お母様は補聴器への抵抗感がおありのようなので、実際にどんなものか見たり、触れたりできるといいかもしれません。眼鏡店でも聞こえの相談ができる所があるので、そちらを勧めても良いかと思います。また、当面は聞こえやすいほうの耳の近くでゆっくり低めの声で話してみたり、ジェスチャーを交えるとより伝わりやすいですよ。大事な用件は紙に書いてあげると良いと思います。

 

 

相談
「78歳一人暮らしの女性からの相談。最近、買物帰りに荷物を持って帰ることや、布団の上げ下ろしが大変になってきました。できれば介護のお世話にならず、1人暮らしを続けていきたいと思っています。どうしたら良いでしょうか?」

アドバイス
最近、ロコモティブシンドロームという言葉をよく聞くようになりました。これは運動器(骨、関節、筋肉など)に障害が発生して日常生活に支障をきたす状態のことです。
歳と共に、筋力が落ちていくのは致し方ないことではありますよね。しかし、予防はできます。まずは、健康診断等で骨粗鬆症のチェックをしましょう。必要であれば積極的に治療をし、体を動かし、毎日適度に日光に当たることが大事です。
また、筋力を維持することも大事です。筋力はいくつになっても鍛えられるそうです。ちょっとした運動でいいんですよ。例えば、【片足立ち】左右1分間ずつを1日3回 (転倒予防のため何かにつかまって行いましょう)。
*1人で運動をするのはなかなか難しいものです。水戸市には各市民センターで体操教室などが開催されています。みんなで楽しく運動もいいですよね。詳しく知りたい方は東部高齢者支援センターまでご連絡下さい。

 

 

相談
「70歳男性の家族からの相談。数年前に熱中症で入院したことがあるので、今年も心配しています。本人がスポーツ飲料を飲んでれば大丈夫だろうけど、糖尿になるんじゃないか? と心配しています。毎日飲んでたら糖尿になるなんてことありますか?」

アドバイス
夏真っ盛り、気温が高い今は上手にエアコンや扇風機を活用して体温を上げないことが大事です。もちろん水分補給も大事ですが、スポーツ飲料ばかりを飲むことはお勧めしません。
スポーツ飲料は意外に糖分が多いんです。ペットボトル500ml 1本中、30g(スティックシュガー10本分!)も入っている物もあります。糖尿病は生活習慣病なので、高カロリーの食事を摂り続けると糖尿病になりやすいです。毎日スポーツ飲料を飲むと糖尿になる…というわけではありませんが、体に良くないことは確かですね。普段の生活の中で水分補給をするならば、麦茶や水で大丈夫です。沢山汗をかく、お風呂あがりや、農作業の後等にスポーツ飲料を飲むのはいいと思います。

 

 

Q肺炎ってそんなに怖い病気なの?

相談
「65歳女性。最近CMで肺炎の予防接種のことをよく見ます。肺炎が原因で亡くなることもあるみたいだけど、それはお年寄りの場合と思っていました。そんなに予防が必要なものなのでしょうか?」

アドバイス
65歳から高齢者と言われてもピンとこない方は多いのではないでしょうか? まだまだ元気で体も動くし仕事をしている方もいますよね。そんな皆さんでも、じつは年齢と共に体の抵抗力が落ちているということがあります。以前に比べて風邪を引きやすくなったり、治りにくくなったりしていませんか?
肺炎は体の抵抗力が落ちている時にかかりやすい日本人の死因第3位とも言われている病気です。その中の95%は65歳以上の方なのです。特に、糖尿病や呼吸器の病気、心臓病をお持ちの方は注意が必要です。ちょっとしたきっかけで肺炎になり命にかかわることもあります。
なので、予防が大切です。まずは手洗い・うがい。冬だけでなく一年中大事なことです。
免疫力を高めるためにウォーキングをしたり、規則正しい生活を送ることも心掛けましょう。肺炎球菌ワクチンの予防接種も受けておくと安心かと思います。

 

 

Q物忘れ外来について

相談
「80歳女性の家族(お嫁さん)からの相談。最近義母が何度も同じことを聞いてきたり、いつも探し物をしていて、なくした物を私が盗んだと言うので、認知症ではないか? と感じています。病院へ連れて行きたいのですが、私の言うことを聞くはずもなく。どうしたら良いでしょうか?」

アドバイス
家族が最初に気が付くのは上記のような症状かもしれませんね。できるだけ早く受診したいものですが、本人は認知症かもしれないと感じていながら否定したい気持ちもあるものです。まずは家族だけで医師に相談してみてください。物忘れ相談医や認知症疾患医療センターに相談するのが良いのですが、ちょっと敷居が高いな…と感じる方は、東部高齢者支援センターにお気軽にご連絡下さい。
ご主人や子供たちにも積極的に関わってもらいましょう。義母様に「お前が盗ったんじゃないか?」と言われた時は「そんなことはしませんよ。一緒に探しましょう」と落ち着いてお伝えください。それでもダメな時は、その場を離れ、対応を別な人に変わってもらって下さい。
認知症の症状が人それぞれあるように、対応の仕方も人それぞれです。困った時は、抱え込まず、東部高齢者支援センターや、介護保険サービスの担当のケアマネジャーにご相談下さい。

 

 

Q認知症について

相談
「60歳女性からの相談。最近テレビで軽度認知障害のことを知りました。私も最近物忘れをするようになり、当てはまるのかも? と不安になりました。認知症にならないように予防することってできるのでしょうか?」

アドバイス
物忘れ、心配になりますよね。私も買い物をした後に、あ! あれ買うの忘れた! なんてことは、しょっちゅうあります。
軽度認知障害(MCI)は、認知症になる前段階の状態です。物忘れ等があっても、日常生活には支障がない状態のことです。MCIを放置すると、認知機能の低下が続き、5年間で約50%の人は認知症へと進行すると言われています。
MCIは適切な治療・予防をすることで回復したり、発症が遅延したりすることがあります。
運動や食事に気を配り、生活習慣病(高血圧症、糖尿病など)を予防したり、人と交流をしてコミュニケーションをとるようにすること等が予防になります。また、料理をするなど、段取りをすることで頭を使うことも大事です。
今月、23日(水・祝)に足腰・認知症チェックセミナーを開催します。機械を使って、簡単に軽度認知障害の診断ができるものがあります。認知症予防の講座や、体操など楽しみながら学べる場なので気になる方はぜひ参加してみて下さい。

 

 

Q認知症の薬ってどんなものがあるの?

相談
「50代女性からの相談。母親が認知症と診断され薬をもらっています。最近、錠剤が口の中で残ってしまってなかなか飲み込んでくれません。他の形状の物もあるのでしょうか?」

アドバイス
大事なお薬なので、きちんと飲んでほしいですよね。今回は、株式会社アインファーマシーズ薬剤師の金谷さんに認知症のお薬の形状について伺ってみました。
「認知症の薬には、飲み込みにくくなった方のために飲みやすい形状が用意されています。例えば、口に入れるとすぐに溶ける錠剤やフィルム状になっているもの、水にすぐ溶けるドライシロップ、水薬、ゼリー状のもの、貼り薬のようにその方に合った形状を医師より処方されます。薬剤師の仕事は、その人が住み慣れた地域でその人らしく生活することを、薬物治療を通じて支えていくことです。錠剤が飲みにくくなったら気兼ねなく医師または薬剤師にご相談下さい。」
そもそも、口の中で錠剤が残ってしまうということは、舌の動きが悪くなっているということだと思われます。舌も筋肉でできているので、舌をべーと出したりぐるっと回したり、積極的に会話をしたりすることで飲み込む力が維持できると思うので試してみて下さい。

 

 

Qなんでこんなにかゆいのかしら?

相談
「78歳女性からの相談。この時期になると特に腕やら足やらがかゆくてかゆくて困っています。特にブツブツ赤くなったりするわけじゃないけど、乾燥肌ってだけでこんなにかゆいもの?」

アドバイス
冬の乾燥肌は本当に悩ましいものですね。乾燥肌というだけでも、かゆくて眠れないなんてこともありますよ。粉が舞うような感じになってしまう人もいますよね。高齢になってくると、肌を守る機能も衰えてきます。そうすると、ちょっとした刺激でもかゆみを感じるようになります。赤ちゃんの体は約70%~80%が水分なのでぴちぴちしていますが、高齢になると、体の水分は50%に減ってしまいます。普段から水分が少ない状態なのです。
ですので、乾燥から肌を守るために、①水分をこまめにとる。②保湿剤を塗る。③こたつに入りっきりにならない等が大事です。
保湿剤にはいろんなタイプがあります。セラミド配合軟膏(角層の水分保持のための成分が入っている)。白色ワセリン(皮脂のように被膜を作って水分の蒸発を防ぐ。ベタベタする)。尿素軟膏(水分保持と角質を柔らかくする作用がある。ピリピリすることもあるので注意)など。お風呂あがりに塗ると効果的です。ご自身に合ったものを試してみて下さいね。

 

 

Q年を取るごとに便秘がひどくなる…

相談
「78歳女性からの相談。年をとるごとに便秘がひどくなって困っています。すっきり出ないというか、出すのが大変というか…。できればお薬に頼らずにすっきり出せるようにしたいのですがどうしたら良いでしょう?」

アドバイス
すっきり出ないのは辛いですよね。便秘薬にも色んな種類がありますが、飲む量によっては、下痢をしてしまったり、お腹が痛くなってしまったりしますよね。便秘になるには、いろんな原因があり人それぞれ違います。しかし、年を重ねていくことで共通して言えることは、筋力や腸の機能自体が衰えてくるということです。そうすると便がなかなか運ばれず、腸内に留まることで水分が失われて便が硬くなり、さらに出にくくなってしまいます。
日常生活の中で、気を付けたいのは、①水分をよく摂ること ②食物繊維の含む食品を取り入れること③乳酸菌(ヨーグルト等)を摂ること等です。
そして、便意がなくても毎日決まった時間にトレイに座ってみるということも大事です。個人的には、①腸を動かすために、横になっておへそ周りから円を描くように外に向って手で軽く押す ②ヨーグルトにきな粉とオリゴ糖を入れて食べる…なんてことを実践しています。個人差があるので万人に効果があるとは言えませんが、ご参考までに。

 

 

こんな時にご相談ください

【ご本人から】
・介護保険のサービスについて知りたい
・施設を利用したい
・介護予防の教室に参加したい
【ご家族から】
・もの忘れが進んだ
・お金の管理ができなくなった
・離れて住んでいる親が心配
・介護のしかたがわからない
【ご近所から】
・虐待されている高齢者がいる
・怪しい業者が家に出入りしている
・ひとり暮らしが心配

 

三中、千波中学区におすまいの方はこちらにご連絡ください

水戸市東部高齢者支援センター
TEL. 029-246-6216

相談時間:月~金/8:30~17:30*そのほかの時間帯でも連絡はとれます。
水戸市吉沼町1839-1 特別養護老人ホーム「ユーアイの家」内
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